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FASHION
Jul 17, 2018
By TORU UKON (Editor in Chief)

【これ、買いました。#003】《NIKE》AIR MONARCH Ⅳ

スニーカー馬鹿、と言われなくなってしばらく経つ。

 

だが、久しぶりに一目惚れして買ったのが、《ナイキ》の作る「ダッド・スニーカー」だ。エア・モナークⅣである。

 

スタイリストはコーディネイトのプロだが、その方法は千差万別。

 

中でも、カラーコーディネイトがお得意なのが、高橋ラムダ君。

 

彼は恐ろしいほどストックしている私物のスニーカーの中から、トップやボトム、アウターにマッチするスニーカーを選んでスタイリングする。くるぶしから上がどんな服だろうと、ビタッと合うスニーカーを用意してくるのだ。そのすご技を知ったのは10年ほど前、《アンユーズド》のルックブックを見たときだった。すぐにブランドのPRの方にスタイリストの名前と連絡先を教えてもらった。そこからラムダ君との付き合いが始まった。

 

そんな彼が今年の春に、あるセレブリティの撮影に持ってきていたのが、《ナイキ》エア・モナークⅣ。色はグレー×蛍光グリーン×ホワイト。珍しいカラーリングである。なぜ、ラムダ君がこのスニーカーを用意したのか、その理由が下記のコーディネイトにある。

 

白と蛍光グリーンに合わせた見事なカラーコーディネイトだ。 すぐにラムダ君のアシスタントにこのスニーカーの情報を聞く。そして、10分後にはネットで購入していた。ちなみにラムダ君は、このカラーリング以外にも、オールブラック、オールホワイトのモナークも用意していた。もちろん、彼の私物。

写真で見ると、蛍光イエローっぽいが、実際はグリーンに近い。ネットでは1万円前後だったと思う。日本未発売モデルとあったので、平行輸入物だろう。

 

エア・モナークの最大の特徴はウィズである。なんと4Eという幅広のボテっとしたアッパーは「ダッド・スニーカー」の絶対条件。さらに、上げ底のような厚いヒール。しかも軽い。歩きやすい。

 もともと、エア・モナークは《ナイキ》のドル箱モデルで、ファーストモデルはナイキのエース・デザイナーであるロブ・ドーランが、セカンドモデルは「エア・ジョーダン」2009を手がけたジェイソン・メイデンなどが担当。だが、文字通り「ダッド・スニーカー」らしく、ファッションシーンに登場するというよりは、量販店などでよく見かけられ、休日のお父さんのためのランニングシューズというポジションだった。それでも安価で、履きやすかったので、売れた! それが、モデルを重ねていくうちに、少しづつファッションピープルにもファンを増やしつつ(デムナもその一人かも?)、《バレンシアガ》のトリプルSの登場を見るや、「あれって、モナークのパクリじゃね?」というスニーカーおたくのマニアックだがごもっともな意見を背景に、今年Ⅳとして再登場したのだ。 (長々とうんちくを語るところは、30年前のスニーカー馬鹿と変わっていない)

今年の夏は、ビッグシャツにツータックのショートパンツというダラダラなスタイルにこのモナークを合わせて、仕事場に通っている。いい年して、申し訳ないが、ラクなのだ。

ただ、一つ疑問がある。 「ダッド・スニーカー」は、若者たちがあえて「親父っぽいスニーカー」を身につけるからオシャレとして成立するのだ。 本当の「親父」が普通にはいたら、それはオシャレでもなんでもなくて、当たり前のスタイルになるのではないか。そうに違いない。

最近、よくこのジレンマにぶちあたる。

「オシャレ」ではなく、「そのままの人」。

デムナよ、20年早く、出てきて欲しかった。

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