FEATURE | 06, Jun, 2018

【インタビュー】GOOM HEO at Central Saint Martins

名門セントラル・セントマーチンズで学ぶ、才能溢れる若きデザイナー。

数々の名デザイナーを輩出し、世界トップのファッション学校として知られるロンドンのセントラル・セントマーチンズ(以下CSM)。同校で毎年開催される卒業コレクションは、業界の行方を占う次なる才能の発信源として、名だたるスタイリストやプレス、スカウトたちが来場しその目を光らせる、業界の関心を集める一大行事となっている。

 そんな才能ひしめく昨年の卒業コレクションの中で、誰よりも輝きを放っていたデザイナーが韓国出身のGOOM HEOだ。BA(学士課程)ではプリント科に所属していたGOOMは、《モリー ゴダード》や《ケンゾー》でのインターンで経験を積み、2年間のギャップイヤーを挟んで臨んだ最終学年では、元々取り組んでいたウィメンズから、突然メンズウエアのデザインへと転向した。そうして制作した卒業コレクションは、その独創的なハイブリットやレイヤードが喝采を浴び「L’Oréal Professionnel Young Talent Award」を受賞。BA卒業後はそのままMA(修士課程)に進学したにも関わらず、彼女の卒業コレクションは製品としてLAのショップ「H.Lorenzo」で展開されている。また、『DAZED』誌が主催する、ユースカルチャーを代表する100人を取り上げる今年の「DAZED 100」にも選ばれた。そんな業界の注目を一身に集める未来のスターに話を聞いてみよう。

 

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——まず、あなたの生い立ちについて教えてください。どのような家族の元に育ったのでしょうか?

「私はファッションやアートとは何の関わりのない、韓国のとても小さな町で育ちました。山に囲われた土地で、町中の誰もが農業を営んでいるような田舎です。街に出るには1時間以上もかかります。父は農業を、母は作物をオンラインマーケットで売る仕事をしていました。父は若いときにドラムをしていたので少しアーティスティックな側面がありますが、両親は2人ともファッションに理解がありませんでした。そのため私がファッションの世界を志すことを両親はあまりよく思いませんでしたが、今では手厚くサポートをしてくれています」

 

——その小さな町では、どのような少女時代を過ごされましたか?

「小学校に入るまではとても静かで、ボーイッシュな子でした。スカートを履いたことはなかったし、髪はいつも短かった。しかし小学校に入学してからは、いつも友達と騒いで遊ぶようになりました。その頃から映画や音楽といった西洋の文化に熱中し始めました」

 

——育った環境は、今のあなたのクリエイションに影響していますか?

「生まれた町にはリラックスしたムードで溢れていて、家の外に出ると自然の中にたくさん遊べる要素がありました。その状況が自由な発想を生み、今の仕事にも少なからず影響していると思います」

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——ファッションに興味を持ったきっかけは何でしょうか?

「高校生の時、一年間の交換留学生として、イリノイ州にある小さな町で18歳を過ごしました。私の故郷よりも小さな町だったので、ここにもファッションやアートはありませんでした。しかしアメリカに住み、韓国とはまったく異なるカルチャーを持った他国の人と出会う中で、今までは怖くてできなかったこと、絶対に実現できっこないと考えていたことに挑戦しなくてはならないと思うようになりました。その後韓国に戻って高校を中退し、CSMファウンデーションコースのためのポートフォリオの準備に取り掛かり、ロンドンに飛び立ちました。今思うと、この大胆な決断はベストな選択だったと思います」

 

——韓国からロンドンに引っ越してきたとき、カルチャーショックはありませんでしたか?

「ほとんどなかったですね。それよりも興奮の方が大きかったです。ロンドンで会う人々はそれぞれがユニークなスタイルを持っていて、私自身も作る服や着る服に対して100%クリエイティブでいることができました」

 

——現在、CSMのMAでは何をしていますか?

「MAのファッションコースで、新しいコレクションを作っています」

 

——BAを卒業後、なぜMAへの進学を決意したのでしょうか?

「正直に言うと、BAの最終学年がスタートした当初にはMAに進む考えはありませんでした。しかし卒業コレクションを作っている最中に、このまま社会に出るよりMAに進学してもっと自分のクリエイションを深めたいと思ったんです。卒業コレクションにはもっと発展させたいアイデアがたくさんあって、MAでそれに挑戦することはデザイナーとして成長するのに最適だと思いました」

 

——もともとはウィメンズウエアのデザインをしていましたが、最終学年でメンズウエアに転向されましたね。メンズウエアのどのような点が魅力だったのでしょうか? これからもメンズを続けるのでしょうか?

「はい、今後もメンズウエアのデザインを続けていくつもりです。まだメンズの経験は浅いので、日々挑戦の連続です。実際、ウィメンズよりメンズを作る方が楽しいですね。全体的にメンズはウィメンズよりシンプルではありますが、よりクレイジーな部分もある。メンズの方が、素材やデザインで遊ぶのも楽しいです」

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——クリエイションのインスピレーションはどこから得ていますか?

「もちろんさまざまですが、基本的には路上や空間、本などから得られるイメージでしょうか。リサーチやインスピレーションは直接的にコレクションに反映されて分かりやすいものもありますが、細部には別のアイデアやインスピレーションも隠れています」

 

——影響を受けたファッションデザイナーは誰ですか?

「私はマルタン・マルジェラの仕事が好き。彼からは確実に影響を受けていて、ブランドの創立から辞めるまでの彼の仕事は本当に尊敬しています」

 

——MA卒業後の将来についてはどうお考えですか?

「まずは、クリエイティブにおける自由が認められるブランドに入って、数年間は業界を研究したい。その後、自分のブランドを立ち上げたいと考えています」

 

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GOOMが選出された「DAZE 100」、ならびにGOOMの製品が購入できるLAのショップ「H.Lorenzo」はこちら。

 

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