FEATURE | 02, Sep, 2017

【インタビュー】ロバート・G・キーズ from《ホーセンブース》in Ron Herman

Photography_Photomaker.  Edit_KO UEOKA.

 

 生粋のジュエリー好きから、ダミアン・ハーストを始めとするアーティストまで幅広く虜にするブランド《ホーセンブース》。9月2日から4日まで、「ロンハーマン 六本木店」にてトランクショーが開催される。

 

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 今回のイベントでは、同店内のジュエリーコーナーを《ホーセンブース》がジャック。黒く塗られた木板に《ホーセンブース》特注の金のビスを打ち込んだ、NYの旗艦店と同じ内装をそのまま再現したクールな空間に仕上げられた。トランクショー開催に合わせて、デザイナーであるロバート・G・キーズが来日。アメリカ人らしい大らかさを持つ彼は、時には冗談を交えつつ気さくに今回のインタビューに答えてくれた。

 

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 1969年にノーザンカリフォルニアに生まれ、BMXとスケートボーディングをしながら青春時代を過ごしたロバート。後にフォトグラファーを志し、友人のつてを辿って、あるフォトグラファーのもとへ弟子入り、サンフランシスコに移住した。その後、独立しLAへ。プロのフォトグラファーとして活動するなかで、撮影用にと行っていたジュエリーの収集に目覚めた。

「量を集めると、どんどんより奇妙な形のジュエリーやユニークなものが欲しくなるんだよね。そのためにヴィンテージストアを回り、インディアン居留地にまで探しにいくこともあるんだ。さらに、日頃からその辺を歩く通行人にも目を光らせている(笑) いいジュエリーをつけているやつを見つけると、『おい、カッコいいリングをつけてるじゃねえか!どこで手に入れたんだ?』って話しかけるんだ(笑) すると相手が『これか?伯父さんがくれたんだよ』と答えると、『そうか。俺に売る気はあるか?』といきなり取引をオファーする。『いくら出すんだ?』と聞かれると『さあ、50ドルでどうだ?』なんてとぼけた答えを返すんだな。すると急に手中に収まる50ドルに目が眩むやつがいる(笑) それで売ってきたやつもあとから気づくはずさ。『なんてクールなリングを売ってしまったんだ!』ってね。たまに『いやだね』って売ることを拒んだやつが、後に壊れてしまったリングを俺のところまで持ってきて『まだ買う気はあるかい?』なんて聞いてくることもある(笑)」

 

 彼のジュエリー収集に対する飽くなき情熱はよく伝わったと思うが、なぜ自分自身のブランドをスタートしたのだろうか。

「たくさんジュエリーを集める中で、単純に自分自身で作ってみたくなったんだよ。アートのようなものだね。星の数ほどある自分のジュエリーコレクションを眺めていて、こう思ったんだ。『俺は、いったい何が欲しいのか?』と。俺独自のクリエイションにするために、家族が持っていた昔の写真のイメージや、70年代イタリアのプレイボーイが持っているようなエロティカなものなど、頭の中にあったそれらをすべてミックスして、自分のリングデザインに落とし込んだわけさ。音楽やスケートボーディング、ファッション、70年代……そういった俺が夢中になったものや経験も詰め込まれているかな」

 

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 どれほどジュエリーを愛していても、必ずしもいいジュエリーデザイナーになれるわけではない。頭の中に思い浮かぶ理想の形を具現化するには、時にはいばらの道を歩むような苦難を乗り越える必要もある。初めてリングを作ったときの苦心や困難について尋ねてみたら、彼はひょうひょうとこう答えてみせた。

「リングを試作しようにも何をすれば分からなかったから、まず手始めにモデリングクレイを買ってみたんだ。家にあったスティックを指にみたてて、粘土を手でちぎってぺたぺたはりつけながら最初のリングのモデルを作った。試行を重ねて出来上がった理想形の粘土を持って、ジュエリーを作っている女性の工房を訪ね、『これ、リングにしてくれない?』ってお願いしたんだ。『素材は何を使って作ったんだ?』と返されたから『粘土だよ』と答えると『それじゃダメだ。これでやれ』って粘土状のワックスをくれた。『家に帰ってろうそくをつけ、このワックスを彫りなさい』ってね。その指示通り、俺は2週間も夢中になってワックスでのリング作りに取り組んだけど、粘土で作った理想にはほど遠いものしかできなかった。だから、工房の女性のもとに戻って『俺じゃできないよ』と泣きついたら、『そりゃそうだ。これはアートなんだ。私なんて20年もリング作りをしているんだから、そう簡単に習得できるものではない!』と半ば怒られて。『そりゃそうだけど、そんなに時間をかけられないんだ。……いくら払えばやってくれるんだい?』とおそるおそる聞いてみたら、『30ドルね』って!(笑) あまりに安くて耳を疑ったよ。俺の費やした2週間はなんだったんだ(笑)すぐさま『OK。君の仕事も、アートもリスペクトしているから、このモデルの通り作ってくれ』って頼んだ。そうして出来上がったのが初めてのリングさ。それからは新しいリングの型が出来上がるたびにその女性のところを訪ね、5回目に訪れたときには彼女も俺がやりはじめたことを理解し始めたのか、『ああ、このモデルは作るのに技術がいるし時間もかかるから、500ドルは頂かなきゃね』って完全に足元を見られた価格に上げられた(笑) 30ドルから500ドルに跳ね上がるって、笑っちゃうよな」。その初めて作ったというリングは、誕生から10年以上たった本取材当日にも指にはめられ、その他多くの初期作品も彼の指と腕に見ることができた。彼自身はそう語らなかったが、初心を忘れない彼自身の謙虚さが現れていると感じた。

 

 今回のトランクショーのために、《ロンハーマン》と共同で企画を進めたエクスクルーシブのアイテムが多数用意されている。中でも注目したいのは、ダイアモンド・コーティングされた漆黒のジュエリーだ。

「これはダイアモンドからとった炭素をコーティングしているんだ。通常使用される電気めっきではなく、リサーチを重ねて編み出した独自の方法を使っている。その技を発見するのに2年くらいかかったね。以前は黒いロジウムめっきを使っていたけど、これはやっぱりすぐに剥がれちゃうんだ。黒いものを買ったのに毎日のように着用しつづけ、6ヵ月たった後にコーティングが剥がれて黒じゃなくなるなんて正直ハッピーなことじゃない。しかし長い目で見ると、どんなに高価な黒の《ロレックス》を買ったって、ブラックフィニッシュだから結局はいつかは剥がれちゃうんだ。なぜなら、もともと黒い金属というのはこの地球上に存在しないからね。いずれは、黒が剥がれてしまうことは免れない。だから、みんなには剥がれるのも味だとわかって欲しいとは思う。コーティングを塗り直すことも簡単にできるしね。けれども、今回のブラックコーティングは今まででベストな出来だよ。何度もテストを繰り返してみたけど剥がれなかったからね!」

 

 今回の「ロンハーマン 六本木店」でのトランクショーを皮切りに、多数のショップにてトランクショー / ポップアップショップが開催予定。ブランドの作り出す空間とともに、その魂のこもったジュエリーを体感したい。

 

【HOORSENBUHS EVENT SCHEDULE】

①    Ron Herman トランクショー

六本木店: 9月2日〜4日

 

②    伊勢丹本館6Fイベントスペース ポップアップ

9月13日~18日

 

③    BARNEYS NEW YORK ポップアップ

六本木店: 10月7日~10月22日

新宿店: 10月28日~11月12日

銀座店: 11月18日~12月3日

 

④    ADELAIDE ポップアップショップ

9月22日~10月8日

 

⑤    GINZA SIX 期間限定ショップ

11月22日~1月16日

 

⑥    ESTNATION

六本木店 トランクショー: 10月25日~11月8日

神戸店 ポップアップ: 11月11日~11月26日

銀座店 ポップアップ: 12月1日~12月17日